基礎 耐震性 関係

知っておきたい、基礎と耐震性の関係

「地震に強い家を建てるにはやっぱり基礎が大事。」

 

それはなんとなく理解できるのですが、
具体的に、基礎が耐震性能に、
どのように関係しているのかが、今ひとつわからない。

 

このような質問を受ける事が多いので、
今回は、基礎と耐震性の関係について、
できるだけわかりやすい事を最優先して、
解説していきたいと思います。

 

 

基礎ってやっぱり大事??

 

基礎って大事だと思います?
大事に決まってます。

 

土台から上の構造体がいくらしっかりしていても、
基礎が弱ければ、地震が来た時には、
倒壊する恐れが十分にあります。

 

基礎工事は、基礎業者が行います。
大工さんの業務範囲ではありません。

 

『腕のいい大工さんが建てたから
我が家は大丈夫です。』

 

こんな言葉をお客様から聞くこともありますが、
基礎工事をその大工さんがやっているわけではないので、
腕のいい大工と、基礎の強さは、全く関係しません。

 

腕のいい大工と並行して、
腕のいい基礎職人も、見つける必要があると言う事です。

 

そして、知っておいて下さい。

 

今は、
腕のいい大工よりも、
腕のいい基礎職人を見つけることの方が、
はるかに難しいことを!

 

悪い基礎ってどんな基礎?@

 

そもそも悪い基礎ってどんな基礎の事をいうのでしょう??
住宅の基礎は鉄筋コンクリート造です。

 

鉄は引張る力に対する抵抗力は強いが、
圧縮する力には弱い。

 

それとは正反対に、
コンクリートは、圧縮する力に対する抵抗力は強いが、
引っ張る力には弱い。

 

鉄筋コンクリート造とは、
コンクリートの中に、鉄筋を打ち込み、
コンクリートと鉄、
互いの弱点を補いながら、強い強度を生み出す技術です。

 

しかし、鉄筋を所定の厚み分、
コンクリートで覆う事を徹底していないと、
この強度は一時的なものになってしまいます。

 

どういうことかと言うと、
鉄筋が錆びてしまうんです。

 

錆びた鉄筋は、膨らみ、
コンクリートと一体化できなくなってしまいます。

 

 

そうなると、本来の強度を発揮することは
できなくなります。

 

 

鉄筋を覆うコンクリートの厚みを
コンクリートの「かぶり厚さ」と言います。

 

 

この「かぶり厚さ」をしっかり確保する事が
良い基礎の条件です。

 

 

良い基礎というか、法律で定められているので、
必ずかぶり厚さは確保する必要があるのですが、
実際は、確保できていないことが多いのが実情です。

 

 

「かぶり厚さ」の基準は、基礎の場所によって
変わってくるのですが、残念なことに、
その厚みが何cmなのかを、覚えている基礎職人の少ないこと・・・

 

 

基礎業者の全体的なレベルは低いと言わざるを得ません。

 

 

悪い基礎ってどんな基礎?A

 

基礎が強度を発揮するには、養生期間というものが必要です。
コンクリートを型枠の中に流し込んだ後、
建築基準法で定められた日数の間に、型枠をばらさずに、
そのままにしておく期間です。
温度が急激に下がると、良い基礎になりませんので、
毛布などで、覆ってあげると、完璧です。

 

ここでも、工期を急ぐあまりに、早々と型枠をバラしてしまう業者がいます。

 

特に建売り住宅などで、この問題が発生しています。
本来5日間必要な養生期間をわずか1日でばらしてしまう事もあります。

 

これでは、本来出るはずの強度も出ません。

 

 

悪い基礎ってどんな基礎?B

 

コンクリートは、水とセメントと骨材を混ぜ合わせて出来ます。
所定の強度を出すためには、その割合が決められています。

 

ここでも、問題が起きます。
それは水の量です。

 

コンクリートを型枠に流し込む際に、水が多いと、
施工しやすくなるんです。

 

特に夏場は、すぐにコンクリートが固まってきますので、
作業効率が悪くなります。
そのような時に、悪い基礎職人は、コンクリートに水を入れます。
当然、薄まりますので、強度は弱くなります。

 

最近は減りましたが、バブルの頃は当たり前のように
コンクリートに水が入れられていました。
当時の癖が抜けていない職人もまだいますので、
要注意です。

 

良い基礎を作るには?

 

良い基礎を作るには、良い基礎職人を見つけるというよりも、
しっかり工事監理してくれる現場監督の存在が重要です。

 

現場監督で不安なら、私達のような建築士に工事監理者として
現場の管理を任せることです。

 

腕のいい職人の定義ですが、

 

大工さんの場合は、技術ですが、
基礎職人の場合は、知識とモラルです。

 

監督がしっかりしていても、大工の技術はあがりませんが、
基礎職人の知識とモラルを向上させることはできます。

 

まとめ

  • 基礎は耐震性と深い関わりがある。
  • 基礎職人に期待するよりも、
  • 工事監督や、建築士などを頼って、
  • 基礎工事の管理体制を強化することが、
  • 良い基礎を施工するポイントである。